【集英社】「日本の軍備増強は韓国にとってマイナスではない」韓国・李大統領は仕事師か、それともポピュリストか?
【集英社】「日本の軍備増強は韓国にとってマイナスではない」韓国・李大統領は仕事師か、それともポピュリストか?
【集英社】「日本の軍備増強は韓国にとってマイナスではない」韓国・李大統領は仕事師か、それともポピュリストか?
【画像】今年1月、ソウルで尹錫悦大統領の逮捕を要求するデモ隊
両首脳は「早期に直接顔を合わせる機会を持つことへの期待」を共有したというが、はたしてこの李大統領、日本にとって与しやすい相手といえるのだろうか?
「怪物独裁」イメージからの脱却
国会での大統領就任式を終え、官邸へと戻る李在明新大統領の車列に、手を振りながら「新大統領、ファイト!」と声援を送るひとりの男性。
すると、黒塗りの車の窓から李大統領がひょっこり顔を出し、男性にこう返す。
「ご飯、ちゃんと食ったのか〜?」
そののどかな応答に道端の観衆からどっと笑いが起きる――。
いま、韓国内で評判となり、繰り返し再生されている30秒ほどの、短い動画だ。
その直前に、李大統領が国会の清掃スタッフといっしょに撮った記念写真も注目の的だ。20人ほどの清掃スタッフと人差し指と親指でハートマークを作り、にこやかに笑っている。多忙な中、わざわざ清掃スタッフを訪ねたワケを大統領周辺はこう語る。
「昨年12月3日の戒厳令布告で大混乱した国会をきれいに整理してくれたのは清掃スタッフたちだった。李大統領は見えないところでこの国の民主主義のために働く清掃スタッフの献身を忘れないという思いから清掃スタッフを訪ねたんです」
その言動の過激さから「強権的」、「怪物独裁」と保守陣営から批判を浴びることもしばしばだった李新大統領。しかし、大統領就任直後の言動は「庶民的で、かつ目線の低い好人物」というイメージを連想させるものが少なくない。きっと大統領周辺には「怪物独裁」イメージを払拭したいとの思いがあるのだろう。
■くすぶる外患罪疑惑の解明も (略)
■新政権が抱える失速の火ダネ (略)
■生煮えの外交方針 (略)
対日関係は任期前半までは良好?
となると、気になるのは「日本と仲よくしたい。実用主義に基づき、尹前政権が築いた良好な対日関係を維持する」と発信している李大統領の約束がどこまで信用できるのかという点だろう。
結論としていえば、任期前半までは日韓関係は平穏を保つだろうと予測する。注目すべきは李大統領本人や外交ブレインの追加発言だ。日本ではあまり報じられていないが、李大統領は「日本の軍備増強は韓国にとってマイナスではない」とさえ発言している。
日本の軍拡に神経を尖らせてきた進歩系政党出身の大統領としてはかなり踏み込んだ発言で、対日関係維持を望む本気度はかなり高いと見るべきだろう。
実際、大統領選でも対日関係は大きな争点になっておらず、李新政権にとって最大の課題が民生経済回復、内乱終息、対米・対中関係のマネジメント最適化の3点であることを考えれば、貴重な外交的体力を消耗してまでも歴史問題や領土問題で日本と争うメリットは乏しい。
対日関係の現状維持は外交公約の柱のひとつだけに、任期5年間の前半、少なくとも来年にある統一地方選挙までは公約違反の批判を嫌って保持されるだろう。
ただ、3年後の2028年に予定されている国会議員総選挙時になると、どうなるかはわからない。もし、その時に政権支持率がガタ落ちとなっていれば、場合によっては求心力回復のために李大統領が反日カードを切ってくる可能性はゼロではない。
もともと李大統領は理念よりも現実重視で、ポピュリスト的な傾向のある政治家でもある。国民受けがよく、支持率アップを狙えると判断すれば、徴用工問題などで日本企業に補償金の一部供与を求めるなど、日本を揺さぶってくることになるかもしれない。
文/姜誠
全文はソース先で
集英社 2025.06.11
https://shueisha.online/articles/-/254212